説教 12月30日「平和の主を迎える人々と阻む者」

聖書 マタイによる福音書2章1〜12節

主イエスが世に来られたことの恵みを覚えつつ2018年から2019年へと移りゆく週の初めの降誕節第一主日です。主が来られたということは、人類が神に逆らい、争いあう世界が続いているとしても、すでにその時は終わり、新しい恵みと平和の時がはじまっているということです。ジョン・レノンとオノヨーコの「ハッピー・クリスマス」という歌は「戦争はもう終わっている、もし君がそう望みさえすれば」というリフレインが続く歌ですが、これは、戦争が終わった時ではなく、アメリカが果てしなく陰惨なベトナム戦争を続けている只中1971年に発表されました。これは、神がイエス様を送って下さって戦争をもう終わらせておられるのになぜあなたがたは空しく戦争を続けるのか、という抗議の問いかけにほかなりません。天の神の御許ではまさにイエスの誕生と共にこの世から戦争は根絶され、真実の平和の時はとっくにすでに始まっているのです。主イエスはヘロデという王がユダヤを支配していた時に、ユダヤのベツレヘムに生れられました。その時、平和の時を告げる出来事がありました。東から博士たちがエルサレムを訪れて「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおられますか。私たちはその方の星を見たので、その方を拝みに来ました」と言ったというのです。東の方の博士とは、どういう人たちでしょうか。かつて700年前東の方からアッシリアやバビロニアの軍隊が来て、ユダヤの地を荒らし、人々を苦しめ、奴隷にして連行していきました。その東の方から今や博士たちが来て、ユダヤ人の王が生まれたことを喜び、その王を拝みに来たというのです。そのユダヤ人の王とは、あの700年前のユダヤの国が滅ぼされ、エルサレムの神殿は廃虚にされたユダヤの人々の絶望の時に、預言者たち(ミカやイザヤ)が神の言葉を託されて告げた、終わりの時に神がユダヤの民に送ると約束して下さったまことの牧者、真実のユダヤ人の王にして世界の諸族諸民に平和をもたらす世界の王のことです。預言者たちは、神の民ユダヤの人々が、その王のもとで、神に立ち帰り、神殿で生ける神にまみえて礼拝し、神の教えを聴くときがやがて来る、その時、ユダヤ人だけでなく世界の「多くの国民が来て言う『さぁ、われわれは主の山に登り、ヤコブの家に行こう。彼(神)はその道を我々に教え、我々はその道に歩もう』と。」こうして、世界中の人々が主の神殿に来て共に神を仰ぎ、その時、「彼らは、剣を打ち換えて鋤となし、槍を打ち換えて鎌とし、国は国に向って剣をあげず、もはや戦のことを学ばない」と、神から幻を示されつつ告げました。それから七百年後の東の国の博士たちのエルサレム訪問の出来事はこのことの成就に他なりません。今や世を覆う悲惨な戦争は終わったもの、やめる時、主の平和こそが満ちる時なのです。

2019年02月11日