説教 12月16日 「主イエスの先駆者の誕生予告」

聖書 ルカによる福音書1章5〜25節

アドベント第三主日のテーマは「洗礼者ヨハネ」です。福音書によれば洗礼者ヨハネは、主イエスの登場の直前に現れ、 荒れ野の広がるヨルダン川のほとりで、すべての人びとに、相手が民衆であろうと権力者であろうと、その人とむきあい、神の裁きと恵みの満ち満ちる時の近いことを告げつつ、悔い改めよ、神の道に立ち帰れ、と呼びかけ、ヨルダン川に身を浸させる洗礼を行いました。洗礼とは、罪の体を溺死させて、神の道に立って新しく生きることを象徴するものでした。福音書は、このヨハネのもとに、貧しい民衆も権力者も、おびただしい人々が集まり洗礼を受けた様子を知らせています。主イエスも彼から洗礼を受けられました。ヨハネは、この主イエスこそ神がユダヤの人々に約束された来るべき方、神の裁きと恵みそのものの方、神の力をもって人々から罪を取り除き、人々を新しくされる方だと人々に証ししました。
 今日の聖書個所は、神が、ヨハネの父ザカリヤにヨハネの誕生を告げたときの物語です。ザカリヤはベテラン老祭司で妻エリザベツは祭司の名門のアロンの家の出であり、二人とも律法の定めをすべて守って働きでも生活でも完璧でありましたが、子供はなく、もはや産める年齢ではありませんでした。そのことがエリザベツの心に影を落としていました。
ところがある日ザカリヤが神殿で香をたく当番に当たってお勤めを始めた時、彼の前に天使が立ち彼は恐れうろたえます。天使は言います。「恐れるな、ザカリヤ、あなたの願いは聞き入れられた。エリザベツが男の子を生む。その名をヨハネと名付けなさい。彼は母の胎内にいる時から聖霊に満たされ、イスラエルの多くの子らを、主なる彼らの神に立ち帰らせるであろう。彼はエリヤの霊をと力をもって来るべき主のみ前に立って先だって行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に義人の思いを持たせて、整えられた民を主に向って備えさせる」というのです。彼は祭司ですから、何十年も祭壇の前に神の名を呼び人前で語りながら、今まで神と出会っていなかった、ということが彼自身に明らかになります。そんな彼に生ける神ご自身が天使を通して今彼に出会い給うのであります。老妻エリザベツに子供が与えられ、その子が終わりの裁きの日、恵みの日に向ってエリヤの霊をもって人々を整えさせると神から告げられていたその人である、その人は父の心を子に向け、つまり大きく強い者のおごりを打ち砕き、その心を弱く小さい者に向けて、正しい者の心を持たせる者となると、天使を通して彼に告げるのです。彼は、ありえない、と言って耳を貸そうとしません。天使は、彼をものが言えなくなるという罰を与え祭司の務めをできなくしてしまいました。彼は大変困ったことでしょう。しかしそれは彼が空しく神の名を呼ぶ者ではなく、生ける神の言葉と真に出会い、生き生きと証しする者となるためには必要なことだったのです。

2018年12月29日