説教 8月20日 「天の国の証し人が受ける試練」

聖書個所は、マタイによる福音書10章16節~23節、題は「天の国の証し人が受ける試練」です。
主イエスは、ユダヤのガリラヤの町々村で、色々な病や苦しみを負う貧しい人々に、天の国が来ているということを告げ、人々の苦しみを共にして、その病や患いを癒されました。病や苦しみのただ中に、すでに神の恵みが満ち満ちている、その神の恵みこそが成就するのだ、だから、立ち上がって歩いていこうと語られたのでした。そして、弟子たちにも、ご自身と共に、人々に語り、また、病を癒し苦しみを共に担う働きへと力を与え、遣わしました。私たちは、そのように主イエスが現された神の国の現実からほど遠いところに身を閉ざして自己中心の闇の中にさまよっている者でありますが、弟子たちもそうでした。しかし、主は、その弟子たちをご自分のもとに呼び召して、彼らにご自身の父なる神から受けた力にあずからせ、神の国を伝え、病を癒し、悪霊を追追い出す力を与え、その働きをするように、遣わされたのです。悪霊とは、神に背いてその自己中心になったわたしたちを虜にして、神の子としての本来の耀きを失わせる虚無の力です。わたしたちも、主に呼び集められ、神の恵みの力の中におかれ、弟子たちと同じように、私たちの日常生活という世に遣わされて、天の国、神の恵みの満ち満ちた支配が、来ていることを、人々に伝え、人々が神を知らずに、力や富への空しい囚われや無力への絶望という悪霊の囚われのもとから解放するようにと遣わされています。しかし、遣わされた私たちが、神の支配について語り、そのような悪霊からの解放のために様々なことに取り組んでいくとき、喜んで受けいれ、一緒に歩んでくれる人もいますが、世の多くの人はそっぽ向いています。特に世の有力な人々からの反発、攻撃をうけることもあります。その人々は全ての人を、特に小さき人々を憐れみ大切にされる神の支配を知らず、自分の持つ権力や富に夢中だから、神の支配が現れるのに抵抗し敵意を抱いてしまうのです。だから、主イエスは弟子たちを遣わすとき、あなた方を遣わすことは、羊を狼のもとの来るようなものだ、言われました。だから、蛇のように賢く、鳩のように素直であれ、と。蛇のように賢くとは、 神に逆らい悪霊に覆われた世の悪と悲惨をそのまま、冷静に受取り、しかも、鳩のように素直に、つまり、まさにそこに注がれ満ち満ちている神の愛・憐れみ・赦しの力に促され、優しさと暖かさを失わないようにと主は言われたのです。

2017年09月05日