説教 10月15日 「天の国を奪い取る人々」

聖書 マタイによる福音書11章7節~15節

洗礼者ヨハネは、ガリラヤ王を自称するヘロデの獄中に囚われていました。かつて、彼はユダの曠野に現れ、世の罪に対する神の怒りの裁きが迫っている、悔い改めよ、神に立ち返れ、と宣べ伝え、人々を川の水に漬けて立ち上らせるという洗礼を授けていました。それは罪の自分に死んで、神によって清められて新しい自分に生き始めるということを現わしていました。多くの人々が彼を慕い、彼の洗礼を受けました。しかし、彼は、自分の洗礼は、洗礼の徴に過ぎない、神ご自身の力によって全ての人を罪の自分に死んで新しい自分によみがえらせる方が来なくてはならない、と。そして、彼は、彼の前に彼の洗礼を受けるために現れた主イエスを見て、この方こそ、その来るべき方だ、と人々の前に力強く証ししたのです。しかし、獄に長く捕えられているうちに彼の中で、主イエスによって新しい神の支配の満ちる世界が来た、という確信がぐらついてきたのでしょう。彼は主イエスに弟子たちを遣わしてあなたは本当に来るべき方ですか、と尋ねさせてきたのです。主は、ご自分を通して、盲人は見え、足なえは歩き、死人はよみがえり、貧しい人々が福音を聞かされている、新しい世界もうは始まっているのだ、神の御業を見よ、と語って励まされるのです。ヨハネの弟子たちが帰っていくと、そこに集まっていた群衆に語りだすのです。君たちは、誰を見に出てきたのか、王や金持ちたちではない、まさに洗礼者ヨハネだ、とあのように心くじかれたヨハネを、彼こそ、神が与えてくださる新しい世界が来る一歩手前に神が送ってくださると約束されたエリヤなのだ、彼ほどの人がいようかと証しするのです。今や本当に神の国は近づいている、今がその時なのだ、貧しい人々、権力と富の支配にずたずたにされつつある人々が、立ち上がる時がきている。たくさんの人々が、神の国がまじかに来ているのを感じ、神の国を襲い、奪い取っているではないいか。神ご自身が、あなた方のところに近くに迫り、さぁわたしを襲え、わたしを奪い取れ、と大きく手を広げて、あなた方を招いている、と言われるのです。同じ呼びかけが、今、力や富をもって支配する世界が、自己崩壊の兆しを見せる現代の世界のもとに、無力感を覚え不安にうずくまる私たちにも主から語られています。さぁ立ち上がりましょう。

2017年12月25日