説教 6月9日聖霊降臨日「聖霊を受けて福音を語れ」

聖書 使徒行伝2章1〜21節

今日は、ペンテコステと言って、クリスマス、イースターと並んで教会の重要な記念日です。聖霊降臨主日とも言います。ペンテコステとは、50日目という意味で、ユダヤの過越し祭りから50日目の日の祭りの日で、ユダヤ人=イスラエルの群れにとっては、神から律法が与えられた記念の日でありました。その日はまた主イエスが十字架の死より復活して弟子たちにご自分を最初に現わされた日から5日目でもあります。あの最初の時弟子たちは、ただ復活の主イエスに衝撃を受けるばかりで信じることができませんでした。しかし、50日後のその日、主の弟子たちの心の底に神ご自身が、み子なる主イエスと共に、聖霊として臨み来たり弟子達が、復活の主を世に証し始め、そこから教会が始まったのです。だからこの日は、世界の教会の創立記念日であります。その一〇日前、復活の主は、すでに40日にわたってくりかえし弟子たちに現れていましたので、弟子たちは、主イエスが王として支配する神の国が明日にでも目に見える形で来るのではないかと期待に心はずませました。しかし、主イエスは、「時と場合は父が定めておられることで、あなたがたの知るところではない」といわれ、「ただ聖霊があなたがたに下る、そのとき、あなたがたは力をうけて、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、さらには地の果てまで私の証人となる」と約束されました。つまり神の国は、目に見える形で世界の大変革という形でくるわけではないが、この罪の世の只中に、何よりもまずあなたがたの心に、この世のなにものよりも確かなこととして、主イエスの復活と勝利、神の国の到来が示される、あなたがたたはそのことの証人となる、ということです。その約束が実現する日を待ち望みつつ、弟子たちは120人ほどで祈っていたところ、まさに10日の後、彼らの上に聖霊が臨んだのです。聖霊とは天から大風のように吹いてくる神の息であり同時にそれは炎のように分かれて一人一人にとどまる神の言葉=舌、「わたしはあなたの者、あなたを愛している」「わたしはあなたに恵み深い」だから「わたしによって生きよ」と語る力強い言葉=舌でありました。その言葉は一人一人のところに留まり、一人一人に力を与え、その言葉をその一人一人の口において語らせるのでした。だから、そこ集まった弟子たちは、たしかにガリラヤ方言でありましたが、自分の言葉ではなく、神が語らせた言葉、「他なる言葉で」語ったのです。外国語を話したのではありません。ちょうどその時ユダヤに滞在する人、ペンテコステの祭りに世界各地から来ていた人たちは、この田舎者たちが「神の大きな御業を語る」のを聞き、その言葉がそれぞれ自分の母国語で響き、彼らを神からの慰めと生きる勇気をもって励まし、一つにしたので、一同は心底驚いたのでした。

2019年10月23日